「ダーリンの頭ン中 英語と語学」 by 小栗左多里

ネガティブ感想です。

ダーリンは外国人」シリーズが好きなので楽しみに買ったのですが,今回はハズレでした。私にとっては。

何ヶ国語だかを操るハンガリー人とイタリア人のハーフのアメリカ人が英語とか語学についてオタッキーに語る(のを妻である漫画家がおもしろおかしく?書く)というものなのですが,欧米人(および欧米っていうか白人ダイスキ日本人)にありがちな,だから日本人はダメなんだ的オーラが鼻につきました。そんなこと思ってるタイプの人じゃないと思うんですが,全編になんかそんな空気がある。しかも使い古されたネタだったりする。

グランドパレスっていうマンション名は恥ずかしいとか,そんなのわかってるっちゅーねん,とか。

theを母音の前ではジって読まなくていいとか,vは唇をかまなくてもいいとか,そういうのを教える学校が間違ってる(だから英語ができないんだ)みたいな論法も出てきたけれど,それも英語ネイティブの発想であって,ザとジはともかく,ふつうの日本人が唇かまないでvを発音しようとしたらbになっちゃうでしょ,何で一方的にしか考えられないかな,とか。(いや,日本の英語教育が万全だとは全然思ってはいませんけれどもね。それはまた別の話。)

「世界地図って,日本(とかアジア)のは日本(とかアジア)が真ん中にあるけれども,海外のふつうの地図は大西洋が真ん中」とか,「海外」の「ふつう」って欧米なんだ。ふーん。へー。とか。

そのわりに,more than=「〜以上」とかいう間違いを平気でしてたりする。「そのグループでは1カ国以上話せる人が多いので」って全員やないかい。とか。あと,謙譲語と尊敬語を取り違えてたり。そんなもん,アメリカ人が間違えるのは仕方ないかもしれないけれども,語学を語るとかいってる本でやってるの恥ずかしいよ。日本人の著者か,せめて編集者がチェックしてやれよ。

感情的になったら勝ち負けで言うと負けなのですが。「ダーリンは〜」で,欧米エライ的でない感じが好きだったので,期待が大きかった分失望も大きかったのでした。「ダーリンは外国人」はおもしろいです。おすすめです。